サードウェーブコーヒーとは2000年くらいよりアメリカ西海岸より起こっているコーヒーブームです。ファーストウェーブ、セカンドウェーブにつぐ第3の波で、「シングルオリジン」「1杯1杯コーヒーを淹れる」などの特徴があります。アメリカカリフォルニア州に本拠地を置くブルーボトルコーヒーを中心にサードウェーブは世界的に広まっています。
サードウエーブコーヒーとは
サードウェーブコーヒーは文字通り、第3の波のコーヒー文化です。
定義はいろいろあるようですが、一般に
- 一杯一杯丁寧に煎れる
- シングルオリジン
- 浅煎りコーヒー豆
- ラテ・アート
- お店に長居しない
という特徴のコーヒーショップのことです。
第1の波、第2の波とは
第3ですから、その前に第1の波、第2の波があります。

第1の波
第1の波は19世紀後半から1960年代頃までのコーヒーブームをいいます。
ブラジルのコーヒー栽培
19世記後半にブラジルなどの南米の国でコーヒー栽培が盛んに行われ、世界的にコーヒー文化が定着して行きました。日本からのブラジルへの移民も、当時の奴隷制禁止からコーヒー農園での働き手として日本から多くの人が渡った歴史があります。
アメリカでは、イギリスから独立後、イギリスの紅茶文化に対抗する意味もあり、もっぱらコーヒーが好まれたようです。
漂流の末、アメリカに渡ったジョン万次郎の話にも当時の東海岸でコーヒーを飲む話がたくさん出てきます。(参考:ジョン・マン 山本一力著)
インスタントコーヒーの発明
また、インスタントコーヒーの発明も第1の波の要因です。
インスタントコーヒーを最初に発明した人はアメリカシカゴに住んでいた日本人科学者のカトウ・サトリ博士。
1901年にニューヨーク州バッファローで開催されたパンアメリカン博覧会で「ソリュブル・コーヒー」と名づけて発表したそうです。
その後、コーヒー豆の価格の暴落に悩んだブラジル政府が、スイスのネスレ社に開発をいらい、1938年に発明されました。
ネスカフェと命名され、その手軽さから大ブームを引き起こしました。
第2の波
第2の波は、1960年代から2000年ごろにかけて流行したシアトル系のコーヒーのブームです。
シアトル系コーヒーとはスターバックス、タリーズコーヒーなどが代表されます。
深煎りで高品質なコーヒー豆を使用するのが特徴です。
スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーは1971年にアメリカのシアトルで開業。当時はコーヒー豆の焙煎の会社にすぎなかったようです。
その後、1982年に中興お租のハワード・シュルツが入社。一度退社して、別の会社でテイクアウトのエスプレッソコーヒーを流行させ、古巣のスターバックスを買収。
世界的な企業にしました。
スターバックスコーヒーを代表とするセカンドウェーブの特徴は
- 長居することが前提の落ち着いた雰囲気
- 通りに面したオープンテラス
- 店内全面禁煙
- 丁寧でフレンドリーな接客
です。
サードウェーブコーヒーの特徴
そして、サードウェーブコーヒーが生まれます。
2002年にサードウェーブコーヒーの代名詞と言われるブルーボトルコーヒーがアメリカカリフォルニア州オークランドに設立されました。
日本にもサードウェーブコーヒーはすでに上陸しており、アメリカのサードウェーブコーヒーと同じ特徴を持っています。
サードウェーブコーヒーの特徴
1杯1杯、淹れる
特徴の1番目は1杯1杯、コーヒーをドリップすることです。
サーバにまとめてドリップするのではありません。
一杯分の小さなドリッパーで一杯分のコーヒーを淹れます。
数杯分をコービーポットにまとめてドリップするのとどっちが良いのかは私には分かりません。むしろ、数杯分が一度に淹れる方が味が均質化して良いような気がします。
シングルオリジン
シングルオリジンとは農場単位まで特定できること。
国、産地ではまだ粗く、〇〇国〇〇地方〇〇農園まで豆の生産地が特定できること。つまり農園までトレーサビリティーができることです。
当然、生産地から消費者まで、混ざりけ無しで豆が流通されるので単価は高くなります。
しかし、農園が特定できるということは、豆の品質が高くないといけません。
ですから、シングルオリジンにこだわるということは、豆の品質にこだわるということです。
浅煎りコーヒー豆
サードウェーブコーヒーは焙煎は浅煎りがメインです。
浅煎りのメインなんと言っても酸味です。コーヒー豆は焙煎されると、初めて酸味が形成され、焙煎度が進むと苦味が形成され酸味が感じられなくなります。
したがって、サードウェーブコーヒーの味は酸味が中心となります。
ラテ・アート

サードウェーブコーヒーの4つ目の特徴はラテ・アートです。
ラテ・アートはコーヒーにピッチャーでミルクを注ぎながら、ハートやリーフなどをコーヒー の表面に描く手法のことです。
ラテ・アートはセカンドウェーブあたりから、一部のバリスタにより行われるようになり、今ではかなり一般化しきました。しかし、ラテ・アートは簡単に描けるようになるわけではなく、ある程度の練習期間が必要です。
サードウェーブコーヒーだからといって必ずラテ・アートが描かれるわけではありませんが、サードウェーブコーヒーにラテアートは付き物になっています。
ブルーボトルコーヒーとフォーバレルコーヒー
サードウェーブコーヒーのお店といえば、「ブルーボトルコーヒー」と「フォーバレルコヒー」です。
ブルーボトルコーヒー(アメリカ)
「ブルーボトルコーヒー」は米カリフォルニア州に本社があるコーヒー生産販売企業です。
2002年に、音楽家のジェームス・フリーマンにより設立されました。
「ブルーボトル」という名前はヨーロッパで初めてオープンしたカフェからつけたようです。
フリーマンの方針は、少しの単位でコーヒーをドリップすることと、焙煎後24時間以内の豆を使うということ。
最初は、宅配のようなデリバリーサービスだったようですが、すぐに商売が当たりオークランドに最初の店をオープンしました。
そして、2010年にサンフランシスコのベイエリアとニューヨークのブルックリンにカフェをオープンしました。
この時、「ジブラルタル」というエスプレッソにミルクを加えたメニューが大当たりしたようです。
現在はアメリカ以外では日本と韓国、香港にお店を展開しています。
フォーバレルコーヒー(アメリカ)
「ブルーボトルコーヒー」と並んで、サードウエーブコーヒーの代名詞が「フォーバレルコーヒー」です。
「フォーバレルコーヒー」は2008年にサンフランシスコでジェレミー・ツッカーにより設立されました。現在はサンフランシスコに4店舗と日本に1店舗があります。
フォーバレルとは4つの樽という意味。
エチオピア・コロンビア・グアテマラ・ケニアの豆を、客が自由にブレンドして飲めるよう店内にコーヒー豆が入った樽を4つ置いたことから店の名前がついています。
フォーバレルコーヒーもブルーボトルコーヒーと同じように、お店で長居をするスタイルを取っていません。
2015年に両店とも日本に上陸しました。
ブルーボトルコーヒーの日本への上陸

日本でのサードウェーブコーヒーの代表はなんと言っても東京清澄白河にあるブルーボトルコーヒーでしょう。
ブルーボトルコーヒーは2015年に日本に上陸、東京都江東区の清澄白河に第一号店をオープンしました。以後、店舗数を増やし、現在は東京に14店舗、京都に2店舗、神戸に1店舗あります。
東京の清澄白河のお店は筆者も数回行ったことがありますが、店内は明るくお洒落な雰囲気です。3回行きましたが、3回ともすごく混んでうました。
スターバックスコーヒーのように長居をするような店にはなってなく、混雑の割りには座席が数席しかありませんでした。

フォーバレルコーヒー(SUNNY’S COFFEE、日本)
フォーバレルコーヒーの日本のお店は栃木県大田原市にあります。お店の名前は「SUNNY’S COFFEE」で正確にはフォーバレルコーヒーと業務提携をしているお店だそうです。
「フォーバレルコーヒー」で検索すればすぐにサイトが見つかります。
同店の3人の女性バリスタは全員サンフランシスコへ渡り、そこでフォーバレルコーヒーのトレーナーから厳しい指導を受けてきたとのことです。
同店のコーヒー豆は毎週アメリカのフォーバレルコーヒーより焙煎した手の豆が空輸されるそうなので、本場サンフランシスコとほぼ同じ味を味合うことができます。
SUNNY’S COFFEE
・サードウェーブとは2002年ごろ、米カリフォルニア州で起こった新しいコーヒー文化。
・「一杯一杯丁寧に淹れる」「シングルオリジン」「浅煎り」「ラテ・アート」が特徴。
・日本には両店舗とも2015年ごろに上陸し、新たなコービー文化を日本でも展開。