コーヒーを飲むと眠気が飛ぶ、眠気さめます。これはコーヒーに含まれているカフェインの影響です。効果はコーヒーを飲んでから約15分くらいであらわれ、約2時間くらい続きます。
カフェインは眠気を抑える以外に、計算能力の向上、記憶力の向上の効果もあるようです。
でも、適量というものがあります。飲み過ぎには注意してください。
コーヒーと健康
コーヒー好きの言い訳
コーヒー好きにとって、「コーヒーと健康」は気にならずにいられません。
コーヒーを好きの言い訳の一つに「コーヒーって健康に良いみたいだよ…」って言えるからです。
ですから、私にとって、健康効果は大きななテーマであり、おいしいコーヒーを求めていくかたわらで、こちらの知識も深めて行きたいと思っています。
コーヒーは人の健康にどのように影響するかはすでにたくさんの情報や学説があり、本も出版されています。
私は医者ではないのでどの情報が正しいかなどは断定できませんが、一般に言われていることをこのブログで読者にお伝え出来ればと考えています。
コーヒーと健康の三ヶ条
「コーヒーを飲めば健康になる、どんどんコーヒーを飲もう」と言いたいところですが、書籍「コーヒーの科学」の著者で医学博士でもある旦部幸博さんは本の中で、プロとしての見地を語っています。
コーヒーと健康について話すときの三ヶ条として
- コーヒーには健康に良い面と悪い面がある。
- いくら健康に良い面があっても、飲み過ぎは体に毒
- どこからが飲み過ぎでそこまでが適量化は個人ごとに異なる
だそうです。
私も、まさにその通りだと思います。
ですので、私もこの三ヶ条を前提にこのブログでお伝えできればと考えています。
コーヒーの成分
コーヒーの成分
まずはコーヒーの成分です。
正確には生豆と焙煎後の豆では成分が異なります。ここでは、より飲む状態に近い焙煎後の豆を基準に考えます。
コーヒー豆に含まれている成分はいろいろなものがあります。

出典:全日本コーヒー協会 コーヒー図書館
全ての成分が多かれ少なかれ、健康への影響があると思われますが、その中で、特に健康への影響が取り上げられるのが、カフェインとクロロゲン酸(ポリフェノール)と言われています。
しかし、この両物質の比率はわずか
- カフェイン 1.0%
- クロロゲン酸 1.3%
程度です。
ですから、わずかな量のカフェインとクロロゲン酸の健康への影響だけを語るのは片手落ちであり、コーヒーを飲めば他の成分の影響もあることは十分に考えられることです。
カフェインの効果について書きますが、それはあくまでもコーヒーを飲んだ時の健康への影響の一つでしかありません。
カフェインの3つの効果

このうちのカフェインの効果について説明します。
カフェインの効果はどのようなものでしょうか?
世の中には色々と実験結果が出ており、科学的にも認められているようです。
カフェインで眠くならない
前出の「コーヒーの科学」(旦部幸弘著)によれば、有名な検証実験が2006年に発表されています。
高速道路を夜間運転するドライバーを被験者にして
- カフェイン入りのコーヒー
- カフェインなしのコーヒー
- 仮眠30分
の3グループに分けて、運転中に道路のラインを踏んだ回数から集中力と運転精度を測定した結果、カフェイン200mgの摂取で仮眠30分の以上の効果があったそうです。
カフェインで計算能力が向上する
沖縄県立看護大学から提出された2001年の論文の結果です。
市販のカフェイン入りコーヒーと、カフェイン抜きのコーヒーを飲ませ単純計算及び心拍数の測定をしたそうです。
暗算してコーヒーを飲むことを繰り返す実験で、カフェイン入りコーヒーを飲んだグループはカフェインなしコーヒーを飲んだグループに対して、計算できた暗算の数が多かったという結果が出ています。
つまり、カフェインを取り続ければ疲労しにくいという結果が出ています。
詳細は下記の論文を参照してください。
https://www.okinawa-nurs.ac.jp/old/c1/siryo/2_07.pdf
カフェインで記憶力が向上する
また、カフェインで記憶力が向上すると言う実験データもあります。
2014年に発表された米ジョン・ホプキンス大学の実験によれば、200mgのカフェインを摂取したグループは、摂取しなかったグループよりも記憶力が向上したそうです。
具体的には、前日複数の絵を見て記憶してもらい、翌日に同じ絵、無かった絵、似たような絵を見てもらって前日にあったかどうか判定してもらいました。
カフェインを摂取したグループは、似たような絵の判別の成績が良かったとのことです。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
https://www.afpbb.com/articles/-/3006467?page=2
コーヒーを飲んで15分で効果があらわれる
コーヒーを飲むと眠気がさめる、眠気を飛ばすことができるのは、コーヒーの中に約1%含まれているカフェインが作用しているからです。
ちょっと難しくなりますが、カフェインはドーパミンやアデノシンなどの神経物質をブロックし、心の興奮や抑制をつかさどるニューロンの働きを抑えてしまいます。
つまり、カフェインは落ち着いたり、睡眠をとろうとする人間の心の働きを妨害するのです。
ですから、眠くなるのを抑えたり、心を落ち着かさせなくします。
(「コーヒーで一息つける」という行為は、精神的な作用でしかなく、科学的には真逆な働きをします)

<もうちょっと詳しく>
脳内にはアデノシン受容体と言うものがあり、このアデノシン受容体が興奮や覚醒、快感や不安などの情緒を抑制するドパミン神経系の働きを抑制しています。しかし、カフェインはアデノシン受容体の働きをブロックするため、カフェインを摂取すると興奮や覚醒、快感や不安の抑制が効かなくなります。
個人差がありますが、カフェインの効果あらわれるのは、コーヒーを飲んでから約15分後くらいだそうです。
(ドーパミンやアデノシンをブロック開始するのに15分くらいかかるということ)
ですから、コーヒーを飲んでちょっと昼寝、15分後に目覚めてスッキリするなんて上手な使い方だと思います。
そして、その効果は約2時間持続するそうです。
2時間ごとにコーヒーを飲めば効果が継続することになります。

ただしその効果は繰り返すとだんだんと弱くなります。
またカフェインを過剰摂取すると健康被害も出るので要注意です。
(この記事の最後にカフェインの上限目安を掲載)
コーヒーに含まれるカフェイン量

コーヒーに含まれているカフェインが、眠気をさます、飛ばすのに有効であることがわかりました。
それではコーヒーとそれ以外の飲み物にどのくらいカフェインが含まれているのでしょうか。
コーヒーに含まれるカフェイン量
紅茶、緑茶と比べてコーヒーに含まれているカフェイン量が多いことが分かります。
データは「日常生活のカフェイン摂取(東京福祉大学 栗原久 2015年)」という論文を参考にさせていただきました。
https://www.tokyo-fukushi.ac.jp/introduction/research/images/bulletin/bulletin06_02.pdf
こんな具合です。
飲み物 | 容量(mg) | 含まれるカフェイン量(mg) |
コーヒー(ドリップ) | 150 | 135 |
紅茶 | 150 | 30 |
緑茶 | 150 | 30 |
ほうじ茶 | 150 | 30 |
紅茶がカフェイン量が多いと言われることが多いですが、5訂食品成分表では、
- コーヒー抽出液カフェイン 0.06g
- 紅茶抽出液カフェイン 0.03g
となっており、同条件ではコーヒーが多いようです。
コーヒー以外の市販の飲み物
眠気を飛ばすコーヒー(ドリップ)以外の市販の飲み物は缶コーヒー、エナジードリンク、眠気飛ばし専用ドリンクなどがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ざっと調べたところではやはり「めさまし太郎」「ポンツシン内服液」など眠気飛ばし専用ドリンクが、カフェイン量が多く効果的です。
専用ドリンク | 製造元 | 外観 | 容量(mg) | 含まれるカフェイン量(mg) |
めさまし太郎 | ゆうき(株) | ![]() |
50 | 200 |
ポンツシン内服液 | ゼリア新薬工業(株) | ![]() |
50 | 200 |
モンスターエナジー | モンスターエナジー | ![]() |
355 | 144 |
ボス ブラック | サントリー(株) | ![]() |
185 | 92.5 |
1本あたりの容量が多いのでエナジードリンクもカフェインが多いです。
缶コーヒーで一は多そうですが、「ボスブラック」でも92.5mlですから、普通のドリップコーヒーの方が眠気飛ばしには効果的のようです。
カフェインの取りすぎに注意
最後にカフェインの1日の適量のお話です。
1日400mgが上限の目安
カフェインで眠気をさますことはできます。
しかし、だからと言っていつもカフェインの力を借りて、睡眠を取るのは良くありません。
カフェインを取りすぎると、めまい、心拍数の増加、不安、不眠症、下痢、吐き気などの症状があります。
だいぶ前になりますが、自分も東京清澄白河のカフェを何軒かはしごしたときは、最後はちょっと気分が悪かった覚えがあります。
では、どのくらいが1日に取れるカフェインの上限なのでしょうか?
内閣府食品安全委員会の報告によれば、欧州食品安全機関(EFSA)やカナダ保健省のデータでは、健康な成人で1日400mgが上限の目安ということです。
400mgはマグカップで3杯くらいです。
コーヒー好きの人に取っては要注意のデータです。
http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf

上手にコーヒーのカフェイン効果を使おう
コーヒーはいろいろな物質が成分として含まれます。
その中で影響が大きい物質の一つがカフェインです。
カフェインで眠気が飛ぶことは多くの実験で検証されています。
飲むすぎに注意して、上手にコーヒーの効果を使いましょう。
・コーヒーのカフェインの効果により、眠気を飛ばすことができる。
・効果は様々な実験で明らか。
・コーヒーの効果は飲んでから15分くらいで現れる
・カフェインの取りすぎに注意(1日400mgが上限の目安)